SNS起点で店舗売上をブーストさせる
マンダムというブランド自体、男性美容商品のイメージが強く、デジタル施策を求められているが、実際店舗の売上が大きい。注力商品「LUCIDO-L(ルシードエル) #質感再整ヘアマスク」の販売強化、およびにまた「酸熱トリートメント」のカテゴリ認知も取っていく上で、消費者にどうコミュニケーションを図るのが良いか、同社のブランドマーケティング部門の方とキャンペーンの戦略を考えました。
■マーケティング上の留意点
・全体売上に対して実際の店舗売上が割当が一定数占める
・デジタル起点の認知から購買につなげたい
・デジタル完結であっても、店舗完結であっても単発キャンペーンで終わってしまうため、
全体の売上にいかに貢献するかの視点を持ちたい
■キャンペーン設計のポイント
・ZMOT(※1)とFMOT(※2)両方にアプローチする
・ZOMTに対してはTikTok売れ(※3)を狙いクリエイターを複数名起用する
・TikTokで配信した素材を編集し、店頭サイネージで配信、再認知や他者推薦による購買を狙う
※1.FMOT(エフモット、First Moment of Truthの略称)
2004年にP&Gが提唱した購買モデルで、顧客は店頭での数秒間で購入するかどうかを決定するというもの
※2.ZMOT(ズィーモット、Zero Moment of Truthの略称)
2011年にGoogleが提唱したもので、「顧客は店舗を訪れる前に何を買うかを決めている」とする購買モデル・マーケティング理論
※3.TikTok上の投稿や広告を通して不特定多数の潜在顧客に商品情報が認知、拡散され、購買につなげること
■実施施策サマリー
デジタル起点で仕組みを使い、店頭売上の最大化をゴールに
TikTok×ドラッグストアサイネージ(ウエルシア薬局×クリエイトSD×スギ薬局)に出稿
◯TikTokの活用
SNS上でPRコンテンツを配信しユーザーの「欲しい瞬間」を捉えるため、アテンション (スワイプを止めコンテンツに見入ること)、イマジネーション (ユーザーが商品活用を自分事として想像すること)、アクション(どうすればその商品を手に入れることができるのか)を狙うためにTikTokを活用しました。フォロワー以外の不特性多数にもリーチする目的でもTikTokは有効だと考えました。
その上で、幅広く別の角度から商品認知を図るため、4名のクリエイターを起用。
商品を分かりやすくストレートにメインで伝えるクリエイターをサイネージ広告に転用。
ドラッグストアへの誘導はSNSマーケティングのTORIHADA社とも相談し、あまり強く出さない(PR感を少なめに)方向にしました。
◯ドラッグストアの活用
大手ドラッグストア3チェーンの店頭サイネージ広告に、
TikTokでPR動画がアップされた直後に広告を15秒尺で配信しました。
プラン内容
└想定imps数:460万回
└想定リーチ: 104万人(期間中の想定来店者数:997万人)
└期間:10日間
出稿内容
└imps数結果:580万 imps
└想定リーチ: 80万人(期間中の想定累計来店者数:997万人)
└期間:10日間
TikTokの効果
合計再生数:50万回を超え、30万リーチを達成!
商品レビュー軸ではそれぞれ商品のターゲット層へ視聴される結果となり
せよさんに関して9割近くが今回のターゲットである女性の視聴となりました。
ドラッグストアの効果
▼掲出クリエイティブ
TikTokの素材を15秒に編集し、ポイントは固定で商品画像とせよさんを知らない方に対しても「人気クリエイターが推し」という固定の文言を入れました。
■売上比較
競合商品群、非広告出稿店舗群、出稿期間前と比較し売上(1,000人あたりで換算)値スコアは20%以上という結果となりました。高い店舗だと広告を出稿した店舗だけ、同商品で+44.5%の伸びが見られました。
時間帯に関しては「午前中と18時台」曜日別では「土日が平日より1.3〜1.5倍」高い値を示した結果となりました。
■認知度結果
広告認知者は「酸熱トリートメント(※)」認知「ルシードエル(LUCIDO-L)質感再整ヘアマスク」認知、購入意向共に高い結果となりました。
なお、イメージ調査において「美容サロンに置いている」というイメージが高かったのですが、サイネージ広告による棚への誘導により商品パッケージに記載された「サロン技術発想」によって連想されたのではと考えられました(ブランドイメージの想起順:美容サロンに置いてある > 酸と熱を活かして髪の毛の補修ができる > 美髪になる > くせ毛の軽減できる)
続いてTikTokとドラッグストアの相乗効果に関しては、両方を認知している方の購入意向が88.9%と高いスコアになりました。
総括
TikTokで認知起点(ZMOT)を作ることは大事ですが、今そこで購買環境にない場合機会損失が生まれてしまう可能性があります。そこで、元々の認知に加えて消費者が購買行動を起こしうる店頭認知の瞬間の強化(FOMT)が、売上に転換する上で押さえておく重要なポイントであると言えるでしょう。