従来のOOHとデジタルOOHの比較

従来のOOHとデジタルOOHの比較

マイケル高橋

2022.12.27

OOH=Out Of Homeは広義に屋外(自宅以外)に設置されている広告メディアを指す総称で、駅、電車内、道路など交通機関、ビルの看板、壁画、エレベーターなどあらゆる生活動線上の情報がそれに当たります。そういった定義だと、非常に多くの場所、多くのOOHが存在することになります。そこで改めてOOHというものを考察していきます。

■消費者の行動特性とOOHの活用方法

◯行動場所に応じた情報掲出
行動特性には、まずエリア(場所)が存在します。
若年層の多い場所、健康に何かしら課題を抱えている人が多い場所、特定の趣味に集まる方が多い場所、家族で訪れることが多い場所という場所自体に特性があるケースです。そして同じ場所でも、歩いている場所、座っている場所など接触状況も異なります。

◯行動時間に応じた情報掲出
曜日や時間によって消費者の行動傾向は変わります。
ターゲット次第ではありますが、日中の主婦と週末の会社員においては行動は全く変わります。
「朝、昼、夕方、夜」「土日祝日は平日」「月末月初」「季節」においても行動の変化が起こります。

◯強制的なフリークエンシー確保
非計画購買という瞬発的な認知と同時に「自分に必要なものだ」と直感で瞬間的に購買行動に移ることが多くなっているものの、そもそも必要だと思われる認知を得ることのハードルが高くなります。そこで自然と目に入る場所に掲出することで、視認の確保が出来ます。

◯PR文脈のコミュニケーション
特に海外を中心にクリエイティブはその表現が工夫された秀逸なOOHが話題になることがあります。

いくつか事例を紹介します。

<大手スポーツメーカー>
割引クーポンのQRコードが配置されたポスターを背負ったランナーを街中で走らせるという動くOOH
追いつくことで50%OFFクーポンがもらえるという内容

<大手消費財メーカー>
「床がピカピカになる」ことだけをビジュアルで訴求した床用洗剤のOOH
どれくらいキレイになるかを直接表現している

<イベント、ビジョン運営企業>
湾曲したフォルムを活用した3D映像で巨大猫が飛び出すOOH
平面サイネージでは表現することのできない3D映像で通行者の注目を敷く

<大手宅配サービス企業>
リアルな見た目、モフモフと表現された猫の毛並みの模造OOH
通行人の多くが注視し、広告自体の話題化と新サービスのキャンペーンに活用

例えば、従来の広告の考えだとAという駅は一日5万人以上が利用する、よってこの場所に置くと、10万人にリーチできる、リーチ単価は◯円ということになり、であれば一日30万人以上が利用するBという駅はどうかといった議論、プランニングになります。

リーチ数だけだと両方合わせると累計35万人です。
ただ通行人にしかリーチできないことには変わりありません。

ただ、必然とシェアしたくなるような広告クリエイティブであれば、各種SNSに画像とコメントが寄せられ、メディアが取り上げ、結果、何百万人へリーチが図れ、何度も別メディアで目にすることでフリークエンシーも高まり、認知も理解も進みます。

自宅以外のスペースを活用したメディアだからこそ可能なもので、技術とクリエイティブ両方の側面で、その企業独自の表現を作っていける可能性があります。

■OOHとDOOHの比較

デジタルOOH(DOOH)は従来のOOHと何が違うのか。
デジタルの仕組みを利用した配信ができるOOHがデジタルOOHです。
そういった意味だと、屋外ビジョン、駅内広告、電車広告、タクシーやエレベーター広告もそうですし、ショッピングモール内の一部広告もそれに当たります。

DOOHはOOHをデジタルデバイスや、デジタルの仕組みを利用して配信するOOHのデジタル版となります。

デジタルの仕組みを使うことで何が実現できるでしょう。
単にシステムを活用し映像をビジョンに流すということではなく、任意のタイミングで出稿や差し替えが可能であり、期間ではなくインプレッションやビューワブル課金形式で、何かしらの定量レポーティングによりPDCAが実行できることがデジタルの仕組みの強みです。

どういった消費者がどういった状況で接触するかを想定してOOHは出稿すべきですが、あくまで購買行動プロセスの最大公約数に対するアプローチに留まります。そこで、デジタルの仕組みを使うことで、最大公約数の消費者行動ではなく、よりどこで、誰に対して、どういった表現で、何を伝えるべきかの設計が可能となり、個々の行動をトラッキングすることで、1対1のコミュニケーションも可能になってきます(広告商品の設計により異なります)

また、プログラマティクOOHは、DOOHに含有される広告種別の名称で、複数のDOOHをネットワークで接続、管理する仕組みでかつ広告出稿取引、配信を自動化する技術で、オーディエンスターゲティングも可能となり、海外では標準化されつつあります。

以下はMADS社のデジタルOOHと従来のOOHとの簡易比較図となります。

また、OOHは素材を調達、生産、印刷、輸送、倉庫保管、該当箇所へ貼り付ける工程と費用がかかります。それと比較しデジタルOOHは、オンラインで入稿し、そのままシステム上で配信が可能なため、工数もかからず容易な運用も可能となり、サステナビリティである体系と言えましょう。

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マイケル高橋

マイケル高橋

株式会社MADS CMO。マスマーケティング、コミュニケーションデザインを主軸とし、上場企業の顧問等も担う。Google SaaS Day 2020年登壇。NIKKEI BtoBマーケティングアワードファイナリスト。

株式会社MADS CMO。マスマーケティング、コミュニケーションデザインを主軸とし、上場企業の顧問等も担う。Google SaaS Day 2020年登壇。NIKKEI BtoBマーケティングアワードファイナリスト。

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