マーケティング部と営業部が連携すべき店頭活用術

マーケティング部と営業部が連携すべき店頭活用術

マイケル高橋

2023.03.16

営業部門が管轄する店頭周りの活動は消費者とブランドとの第一の接点です。マーケティング部、ブランド部門は営業部門と密接な協働を行うことが店頭における売上において非常に重要です。今回は店頭の性質における各部門の役割を考察します。

■ブランド接点である店頭

商品の認知から利用まで通過するモーメント(最も関心が集中する瞬間)の種類は以下の通りです。

FMOT:First Moment of Truth
⇒店頭体験(営業主体)

SMOT:Second Moment of Truth
⇒製品使用体験(R&D主体)

ZMOT:ZERO Moment of Truth
⇒店頭以前の体験(マーケティング・ブランド主体)
※ZMOTはFMOT、SMOTは単に認知を得る広告コミュニケーションのみだと、購入意向にたどり着きにくいという課題が一定あったため生まれた、2000年代の事象です。

■ブランド接点である店頭

FMOTが重要である理由として、ある広告に接触した消費者がブランドAに興味を持ち、店頭に行ったところ、隣のブランドBの値引きが気になります。一応これも聞いたことがあるし、今日はこっちにしておこうかと購入ブランドのスイッチが発生してしまいました。

多くの消費者(コンシューマー)は、購入者(ショッパー)でもあります。
このショッパーは価格や、その瞬間のあらゆる要因で、非計画購買を起こします。

値引きで商品の価値を決めていなくても、安く買うことが善になる瞬間で、さらに「今だけ」と言われると、その条件に対して背中が押されてしまいます。
そういう意味でも店頭は大事なモーメントが存在する場所です。

■4つの店頭活動とマーケティング部門の留意点

小売、流通側の力学として全来店者に支持されるブランドが有り難いというのは前提として「利益率が低いジャンルでも数が売れるブランド」「今、売れ始めてきているブランド」「子供がいる母親に人気なブランド」というポジショニングも重宝されます。

一方で「品切れが多い」「値引きの常態化で値引きしないと売れない」「隣の競合チェーンにだけ値引き支援しているブランド」となるとネガティブ印象に繋がります。

マーケティング部の方は、自社ブランドが小売、流通側からどういった印象を持たれているか営業担当者などと情報交換をして、定期的に把握しておきましょう。

①配荷+露出
買いやすい状況を作ることは店舗で重要です。
店頭にない、どこに売っているか分からないということは回避しないといけません。

必要に応じて配荷店舗を増やし(場合によってはDtoCのEC化)、注力店舗向けキャンペーン、専用商品の提供など、店頭露出を高めることで、認知も興味も無かった状態から、一気に購買に繋げられることがあります。ZMOTをスキップし、FMOTからブランド体型が始まるケースです。

瞬時に消費され、購入に際してリスクが少ない、飲料や、食品、500円以内のお試しトイレタリーなどに頻繁に見られます。この後の利用体験が満足するものであると「次回以降も買うブランド」と覚えられます。

②お値打ち感
302円、300円、298円と全て2円の差ですが、298円はお得に感じます。
以前より金額表記差の影響度は下がっていると言われていますが、未だに有効な手段の一つです。紙おむつだと37枚、39枚は認識に差が出ませんが、41枚入になった段階で「たくさん入っていてお得である」という認識となります。
商品の価格をいつどこで、どう設定するかも営業とマーケティングが連携して決めていくことです。

③店頭のZMOT
店頭だとショッパーの価値観が支配的であるとはいえ「このブランドに興味があったんだ」という気持ちを思い出してもらうことで、優先的に商品を選んでもらえます。

人的なコミュニケーションや、POSM、パッケージによることも多いですが、いづれにしろZMOTのメッセージ内容と一貫性の持たせることが必要です。店頭サイネージでTVCMを流すという手段はこれにあたります。

③きっかけ
贅沢品や、不要不急のものを買う際には、きっかや口実を必要とします。
今週は頑張ったし、たまには良いビールを飲んでも良いかという心理です。

これらには興味で買わせるのではなく、きっかけで買うものですが、
店頭活動で工夫できる要素です。

・時限性(何時までお得、最後の一つ)
・経済性(長く使える)
・必要性(そろそろ替え時ではないか)
・他者の巻き込み(家族の誰かが欲しがっているのでは、皆で使える)
・社会正義(環境に良い)
・準拠集団(皆使っている、インフルエンサーも使っている)
・記念日(◯◯の日、時期)

■総括

企業によりブランドマネージャーがブランドのマーケティング費を管理し、営業の販売促進費を捻出する場合もあれば、営業の販売促進費は宣伝費と切り分けて管理されている場合もあります。

消費者にとっては商品の認知〜購買〜利用まで一連の行動となります。
よって営業部門やマーケティング部門の連携はもちろん、製品開発、デザイン部門とは商品が正しく使えること、性能を五感で知覚さえること。財務部門とは、ROIなのかROASなのか、競合シェア率や事業成長性など、それぞれの部門ミッションを理解した上で会話していく必要があると言えましょう。


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マイケル高橋

マイケル高橋

株式会社MADS CMO。マスマーケティング、コミュニケーションデザインを主軸とし、上場企業の顧問等も担う。Google SaaS Day 2020年登壇。NIKKEI BtoBマーケティングアワードファイナリスト。

株式会社MADS CMO。マスマーケティング、コミュニケーションデザインを主軸とし、上場企業の顧問等も担う。Google SaaS Day 2020年登壇。NIKKEI BtoBマーケティングアワードファイナリスト。

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