impression(インプレッション)単価の価値を考察する

impression(インプレッション)単価の価値を考察する

マイケル高橋

2023.12.20

広告impの単価の違いはどう考えるべきか?imp単価だけを一概に比較し出稿プランを決めるという画一的な判断は正しいと言えません。

imp単価をどう考えるべきかの判断指標を考察してまいります。

■imp価値を考えるにあたり

Imps単価とは「広告費用÷広告が表示された総回数」です。
誤った定義で使われていることもありますが、CPM(Cost per Mille)が「広告費用÷広告が表示された総回数×1,000」となります。

imp価値とは何を指すでしょうか。imp単価だけを比較し出稿プランを決める、時としてその判断基準を設けている企業は少なくありませんし、指標としては分かりやすいです。

ただ、最終判断はそうだとしても、本質的なことを把握しているか、ということと、そこには変数が存在することは忘れてはいけません。それが「impあたりの価値」です。

■imp価値とは?

imp価値とは情報の表示に応じたベネフィットの概念であり、広告だと投じたコストに対する対価となります。impあたりの価値は原則「接触態度」×「接触時間」×「情報量」となります。

○接触態度
見ているか見ていないか分からない状況の情報より、必ず見ている環境の方が認知されやすく、記憶にも残りやすい=価値があると言えます。

また、必ず見ているとした場合には、その見る人がターゲットであるか、態度変容を起こす場面かで、さらに価値が変わってきます。

例えば、身体のトレーニングに潜在的にも興味がない人のタイムラインに出てくるプロテインの広告より、フィットネスジムの中のサイネージで出てくるプロテインの広告の方が、同じ1impであれば価値が高いと言えます。

○接触時間
短いより長い方が価値が高いと言えます。

例えば、タイムラインで一瞬で流れる情報より、固定で接触している時間が長い方が認知されやすく、記憶にも残りやすい=価値があると言えます。

また接触していても、見られないと意味がありません。視認率(接触×視認された割合)が高い方が視認時間も高くなります。

専念視聴環境などでは、視認率が高くなる傾向にあります。

シンプルに言うとしっかり見られて、かつ見られる時間が長い方が価値が高いということです。
(動画の場合は視聴完了率の指標も、ここに入ってきます)

◯情報量
バナー広告の面積が通常サイズの2倍になるとクリック率は約1.6倍に、3倍で約2.5倍に、逆に2分の1では約0.75倍になります。

広告は面積大きいほど、認知され、結果としてその後のアクションへの影響もあります。

また、フォーマットにおいては(あくまで目安として)テキストより動画フォーマットの方が、約5000倍の情報量を持つと言われています(※静止画より動画フォーマットの方が、10〜30倍の情報量と言われています)。

15秒のTVCMが静止画の垂れ流しだったらどうでしょう。動画だからこそ、表現方法が豊富で記憶や心象へ影響を与えることが出来ます。
(必ずしも動画が良いということではなく、メディア特性や目的により、テキストや静止画が有効な場合もあります。瞬間的に視認する場所や、伝えたいことを極端に絞る理由がある場合がそれに当たります)

■広告費からの価値換算方法

ペイドメディアの場合には、そのコスト(広告費)をimpで割ることで、imp単価となり、効果と効率の側面で投資判断を行っていくことになります。

基準の「接触態度」「視認時間」「情報量」に対して変数を設けることで、メディアの比較を行うことを推奨します。

ターゲットの20代含有率が50%の媒体面で、100万円で100万imps(imp単価=1円)の場合、ターゲットあたりのimp単価は2円ということになります。

他の変数も掛け合わせると下記のような形になります。

  ▼基本的な計算式

■具体的なImp価値が高いメディア例

◯リテールメディア
消費財において、デジタル広告よりリテール広告のimpが高くても出稿している企業が多くいます。それは買物をする寸前という購買行動のモチベーションが顕在化しているため、アクションしやすいためです。

◯美容サロンやタクシー
美容サロン、タクシー、飛行機の中などは、目の前にサイネージが置かれていたりします。
専念視聴の環境のため、半ば強制的に広告を認知させることがで視聴完了率も80%以上と高い傾向にあります。

認知スコアをあげるためには出稿量が必要になってきますが、少ないフリークエンシーで認知スコアが上がりやすい傾向にあります。

■Imp単価の落とし穴

メディアや広告メニューでimpあたりの価値を定めたとして、落とし穴がリーチ数です。


【A】0.9円:10万ユニークリーチ
【B】1.0円:20万ユニークリーチ

上記は0.9円の方が単価は低いですが、リーチ数も低いです。

メディアプランニング上のお題が「出来るだけ安価に、より多くの人に接触させること」ということであれば、単価1.0円のメディアは単価0.9円のメディアと比較し約1.1倍コストは高いですが、ユニークリーチが2倍です。

この場合には、単価1.0円が選ばれるでしょう。
単価0.9円のメディアが選ばれるためには「リーチ数は見ない」というお題、もしくは単価1.0円のメディアのユニークリーチ数が、おおよそ10〜13万の範囲内の場合になるかと思います。
(本来はフリークエンシーの概念も入れるべきですが今回は省きます)

このように単価の価値に、必ずついて回るのが、リーチ数(接触できる規模)です。
リーチ数は相対的に比較され、規模は絶対的に比較されます。

一定の「規模」があることが、広告出稿時には求められます。
規模が無い時点で出稿に値しないという企業は少なくありません。
この判断基準を持っておくことも大事です。

さらにリーチ数においては、ターゲット顧客がどれくらい存在するか。
単なるデモグラフィックやペルソナで選別されるターゲットではなく、未来の顧客になり得る顧客にリーチできるか?
10名にしかリーチ出来ないとしても、その10名が全てロイヤル顧客(LTVが高い顧客)になると知っていれば、imp単価は高くて然るべきですし、10,000名にリーチ出来ても、それが顧客になり得ないユーザーへのリーチであれば、無駄な広告費になり得ます。

■総論

imp単価が安い順番でソートして出稿プランを決めるというのは、2000〜2005年において各Webメディアが横並びでユーザー属性も、広告メニューも類似していた時の手法となります。
昨今ユーザーの属性どころか、メディアの特性も多様です。

動画メディアであれば、imp単価が1.0〜4.0円など、平均目安の範囲に入るものを優先的に検討すべきものの、単に単価が低い広告メディア、メニューだけの選択をしない方が、より有効なプランニングになると考えます。

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マイケル高橋

マイケル高橋

株式会社MADS CMO。マスマーケティング、コミュニケーションデザインを主軸とし、上場企業の顧問等も担う。Google SaaS Day 2020年登壇。NIKKEI BtoBマーケティングアワードファイナリスト。

株式会社MADS CMO。マスマーケティング、コミュニケーションデザインを主軸とし、上場企業の顧問等も担う。Google SaaS Day 2020年登壇。NIKKEI BtoBマーケティングアワードファイナリスト。

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