2022年以降の消費行動の変化
Googleも提唱しているパルス型消費行動が分かりやすい例でもありますが「常に購買ができるオンライン環境」「個々の情報選択における自由」の加速により、従来のマス的な概念や、AIDMA(1920年に提唱)的な消費者購買のプロセス、顧客の行動や思考を時系列で表したカスタマージャーニー的な発想は大部分の消費者に通用しなくなっています。
また台頭するメディアや、ソーシャルなコミュニケーションにより、無意識下に接する1日あたりの情報量は生活者が脳では到底消費できない10万を超え、情報の取捨選択、自分にとって大事にする価値観や情報がデモグラフィックではなく、個々の単位になっています。
商品購入のきっかけ
消費者は、商品やサービスに関する、様々な情報を常に得ている中で、ある商品・サービスに対し潜在的に期待しているメッセージに触れた瞬間に、認知と同時に、自分に必要なものだ、と直感で瞬間的に購買行動に移ることが多くなっています。
購買の意思が固まらない段階から情報に触れ、緩やかに意思が固まっていくような現象で、ZMOT(Zero Moment of Truth)とも言われています。
いわば「計画的な購買」ではなく「非計画購買」であり、「生活の導線上」といより「生活に関連して起こる思考上における購買の形」と言えます。 実際に、実店舗で購入される場合、「非計画購買」が購買の約70%を占めると言われています。
非計画購買と衝動買いとの違い
衝動買いとの違いとは、その言葉の通り、衝動的になって買ってしまい、後で後悔するケースが多いと言われるものですが、それとは異なり、瞬発的に認知し、思考や行動の時間軸の段階を得ず、自分に必要だと直感的に感じ、購買に至るため、必要なものを必要なタイミングで購入できたという心理状態になります。
実際に買い物リストを用意していても、その2倍近い商品を購入しているというデータがあり、そのリスト自体にも特定の銘柄ではなく商品カテゴリー名のみのケースが多い。つまり特定の商品カテゴリの中で、特定の銘柄を購買検討し、購入決定する方向に導いていくと言えるでしょう。
今後のメディアの在り方
若年層のTV離れという言葉がありますが、実際に若年層はTVがイヤで離れているわけはありません。自分が見たいアーティストが出演している番組は見るし、自分が見たいと思える番組は見ています。TVというメディア以外に見たいコンテンツがあれば、そっちを見ます。
メディアに依存しているのではなく、個々が必要な自分の価値観や要求に依存しているのです。
個々のリテラシーの差も世代や周りの環境により異なります。
よって、消費者のランダム思考や行動に対して、その個々の接点(タッチポイント)において生活者ありきのコミュニケーションをいかに取っていけるかが重要となっていくでしょう。
メディアを通じた企業メッセージの在り方
消費者は、興味を持ったら簡単にスマートフォンでキーワード、画像、動画、評判を検索しますし、ソーシャルのタイムライン上に流れてくる記事も一つ一つ深く考えずに、タイトルだけを眺め、よほど関心があればリード文を読む程度です。
その中で企業のメッセージに振り向いてもらおうと思った場合は、広告的表現では不十分で、むしろ年々広告は「企業が一方的に発信している情報である」という理解のリテラシーが高くなっている消費者に対しては、不要な情報とされる意識が高い場合もあります。
あくまで、伝えたいことと相手が興味を持つ文脈を探り「欲する情報、消費者の顕在的課題、さらには無意識下の課題」に対して到達できるメッセージが重要といえるでしょう。
そもそも広告の概念も従来の考えとは異なり、あくまで消費者とのコミュニケーション手段としての形式上のペイドメディアであると言えまし、オウンドメディアもアーンドメディアも含め、どのタイミングで、いつ、どのタイミングで誰に何をどれくらいどう伝えるかの設計がより重要になってきます。