1.小売業界が目指すカーボンニュートラル
地球温暖化対策が世界的な課題となる中、小売業界においてもカーボンニュートラルへの取り組みが加速している状況があります。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量をバランスさせることを指し、日本では2030年に温室効果ガスを46%削減、2050年までに排出量を実質ゼロにするという目標を掲げています。
カーボンニュートラルへの取り組みは、企業の社会的責任(CSR)の枠を超え、企業の持続可能な成長戦略として位置づけられるようになってきました。
世界的にも気温上昇が進み続けており、最近では温暖化の影響による山火事の多発など、私たちの生活にも様々な影響が出ています。
<小売業界がカーボンニュートラルを目指すべき理由>
①小売業は温室効果ガス排出の主要業種のひとつ
照明、空調などが原因となり、店舗1軒あたりの排出量も高水準となっている。
②消費者の環境意識が購買行動に影響している
特にZ世代の環境意識は高く、SNSの発達により環境に配慮した商品は口コミで広がりやすくなっている。
③ESG評価や規制への対応が必須になってきている
取引先・投資家から「対応していない企業」は敬遠される可能性もある。
2. 小売業における店舗販促の課題について
小売業界が環境施策を推進していく上で避けて通れないのが、販促活動における課題です。
従来の販促方法は環境負荷が高く、コスト面やカーボンニュートラル実現の観点で大きな壁となっています。
多くの小売企業担当者からは「カーボンニュートラルへの取り組みを進めたいが、費用がかかりすぎる」「環境対策が事業促進の妨げになる」といった声が聞かれます。
言い換えれば、環境施策と事業成長を両立できるビジネスモデルが求められているのです。
下記では、小売業界における店舗販促の課題を3つに整理してご紹介していきます。
2-1. 自助努力だけではカーボンニュートラルの実現は困難
多くの小売企業が環境負荷低減に取り組んでいますが、自助努力だけでカーボンニュートラルを達成することには限界があります。
小売業界、特にスーパーマーケットなどは占有面積が広く、冷蔵冷凍商品も多いため、温室効果ガスの排出量が比較的多い業種です。

※引用:一般財団法人 日本原子力文化財団
再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の高い設備への投資、温度設定や営業時間の工夫など、各社が様々な取り組みを行っていますが、実際には小売業を含むカテゴリーでは温室効果ガスの排出量は増加傾向にあります。
つまり、小売業界各社の努力だけでは限界があり、サプライヤーとの協力が不可欠になってきています。
2-2. 紙媒体販促ツールの環境負荷
小売業の店頭販促では、POPやチラシなどの紙媒体が今なお大きな役割を担っています。

実際のデータを見ると、紙の需要は全体的には減少傾向にあるものの、段ボールや包装用紙は増加しています
これは日本の消費者の90%以上が実店舗での購買を行う背景があるためです。
ですが、これら紙媒体の製造・輸送・廃棄のプロセスでは相当量のCO2が排出されることは見過ごせません。
紙業界団体では、2013年度比で2100万トンのCO2排出削減目標を掲げていますが、2020年時点で約320万トンの削減にとどまっており、目標達成へはまだ道半ばです。
紙媒体からの脱却は、環境負荷低減のためには避けて通れない課題となっています。
2-3. 「グリーンウォッシュ」と見なされるリスク
環境への取り組みを表面的に行うことで、「グリーンウォッシュ」(環境配慮を装った見せかけの活動)と消費者から判断されるリスクも高まっています。
グリーンウォッシュとは、環境に優しい印象を与えることで消費者を誤認させてしまうマーケティング手法のことです。
アメリカの環境マーケティング企業が提唱した「7つの罪」という指標では、様々な観点からグリーンウォッシュに当たる行為を定義しています。
実際に海外では大手企業でも誤認を与えるような事例が発生し、ブランド価値の損失につながっています。
〈グリーンウォッシュ 7つの罪〉
1.隠れたトレードオフの罪
製品の一部の環境的側面のみを強調し、他の重大な環境問題を隠すこと。
例えば、紙の使用量を減らしたと宣伝しながら、有害な化学物質の使用や高いエネルギー消費については触れないケースが該当します。
2.証明を示さない罪
環境に関する主張を裏付ける証拠や第三者認証を示さないこと。
「エコフレンドリー」や「サステナブル」といった言葉を使いながら、具体的なデータや認証を提示しない場合がこれに当たります。
3.あいまいさの罪
曖昧で誤解を招きやすい表現を用いること。
「自然由来」「グリーン」といった定義があいまいな表現を使い、消費者に環境に優しいという誤った印象を与える行為です。
4.偽りのラベルを表示する罪
存在しない、または偽りの認証ラベルを表示すること。
公的な認証機関が発行していない独自の「エコマーク」などを作り、あたかも第三者認証を受けているかのように見せる行為が該当します。
5.無関係の罪
製品と全く関係のない環境主張をすること。
例えば、有害物質を含む製品に「CFC不使用」と表示するなど、そもそもその製品カテゴリーでは使用されない物質を使っていないことを強調する行為です。
6.悪を比べてましなほうを宣伝する罪
同じく環境に悪影響を与える製品群の中で、相対的に「ましな」製品を環境に優しいと宣伝すること。
例えば、燃費の悪いSUVの中で「同クラス最高の燃費」と宣伝するようなケースが該当します。
7.不正確の罪
単純に虚偽または不正確な環境主張をすること。
リサイクル素材の使用率を実際より高く表示したり、削減したCO2排出量を過大に表現したりする行為がこれに当たります。
このようなことから、カーボンニュートラル取り組みを含む環境対策を進める際には、慎重かつ丁寧な対応が求められます。
3. 3つのサービスで解決!小売業の”環境配慮×販促”の未来
ここでは、小売業界の環境問題に対する解決策として、環境問題の解決と事業成長を両立させる3つのアプローチをご紹介します。
3-1. カーボンクレジット付リースの採用
環境配慮型の販促活動を実現する1つ目の方法として、カーボンクレジット付きのリースサービスの活用が挙げられます。
カーボンクレジット付きのリースとは、東京センチュリー株式会社が提供するリース・オートリース等に、J-クレジットをはじめとしたカーボンクレジットのオフセットサービスを付加したサービスのことです。
Jクレジットとは日本政府が認証する制度で、CO2排出削減や森林からの吸収によってCO2を減らす取り組みをクレジット化したものです。

※引用:Jクレジット制度HP
〈カーボンクレジット付リース活用のメリット〉
①自社での削減努力+αの取組を実施
自社の削減努力だけでは達成困難な目標を補完し、より高い環境貢献を実現できます。
②温対法、 CDP・SBT・RE100における排出量のオフセット
生産設備・IT機器・車両等のリース物件の使用に伴い排出するCO2のオフセットが可能に。
イニシアチブや法規制への対応に活用できるため、企業評価の向上につながります。
③カーボンクレジットに係る業務の外だし
クレジット選定から購入、無効化手続きまでの煩雑な手続きをすべてアウトソーシングできます。
④カーボンクレジット代金の月額化
一時的な大きな支出を避け、リース料に含めて平準化することで予算計画が立てやすくなります。
このクレジットの売買により、売る側は収益を得て、買う側はCO2排出をオフセットできるという仕組みになっています。

3-2. 消費電力の少ないDX機器の採用
2つ目の方法は、消費電力を抑えたDX機器の積極的な導入です。
ソニーマーケティング株式会社が提供する法人向けブラビアは、従来型のSTB(セットトップボックス)型ではなく、ディスプレイ内に高性能チップを内蔵しているSOC(System on Chip)型になっています。
〈SoC型デジタルサイネージのメリット〉
①環境配慮&コスト削減
ディスプレイ内に高性能チップを搭載することで外部のSTBが不要となり、STBの電力消費を削減できる優れものです。
また、STB本体の費用や設置用金具も不要となるため、コスト削減と環境配慮を同時に実現できます。
②運用安定化が可能
機器点数削減による故障率低減や、STBの盗難リスクを排除できます。
③省スペースで運用できる
STBやケーブルの収納不要のため、運用時の見た目もスッキリしており、少ないスペースでの運用も可能です。
ソニーグループでは、法人向けブラビアを製造する際の「作る・運ぶ・使う」という各段階で環境配慮を行っています。
【作る】
・SORPLAS”などの再生プラスチックを使用し、バージンプラスチックの使用量を削減

【運ぶ】
・パッケージを小型・軽量化、パッケージ印字のインク使用量を削減しCO2排出量を減らす。

【使う】
・省エネ設定・確認が1か所で簡単にでき、明るさの自動コントロール機能も掲載。

3-3. インストアメディアのオンライン化と環境施策に賛同する広告主の獲得
3つ目の方法は、店内販促のデジタル化と環境意識の高い広告主とのコラボレーションです。
MADSでは、全国約1,850店舗のウエルシア薬局にSTBレス型「MONOLITHS for ブラビア」サイネージを導入し、販促コンテンツを一括管理しながら、リテールメディアとして展開しています。
〈MONOLITHS for ブラビアによる店舗販促デジタル化のメリット〉
①印刷コストや人件費の削減
紙のPOPやポスター作成費用が不要となり、更新作業の人件費も大幅に削減できます。
②販促物の即時更新による業務効率化
クラウド管理により複数店舗の販促物を即時一括更新でき、現場業務が効率化します。
③販促スペースの削減
複数の紙媒体を1台のデジタルサイネージに集約でき、店舗の有効スペースが増加します。
④販促効果の明確化
広告出稿企業においては店舗での売上比較によって広告効果を評価できるため、データに基づいた効果的なプロモーションが可能になります。
近年の消費者、特にZ世代を中心に環境意識は高まっており、企業のサステナビリティへの取り組みは広告PRにおいても重要性を増しています。
環境に配慮したメディア事業を行うリテール企業の取り組みに広告主が賛同する「サステナブル広告」の展開により、環境配慮型機材の導入から広告設計までを一気通貫したGXサービスを提供することができるのです。
3-4.3社の組み合わせで叶う!サステナブルなDXソリューション
ここまで紹介した3つのアプローチは、それぞれ単体でも効果を発揮しますが、これらを組み合わせることで、より包括的かつ効果的なサステナブルDXソリューションを実現できます。

この3社連携モデルの最大の特徴は、環境負荷低減と事業成長の好循環を生み出す点にあります。
ここからは、東京センチュリー株式会社、ソニーマーケティング株式会社、株式会社MADSの3社連携モデルのメリットについて紹介します。
3社連携モデルのメリット
①環境への取り組みがそのまま新たな収入源に
紙のポスターやチラシをデジタルに切り替えることで、紙の使用量を減らし環境に貢献できます。
さらに、この環境への取り組みを「この広告を利用すると紙〇〇kg分のCO2削減に貢献できます」といった形で数値化して伝えられるため、環境を大切にしたい企業からの広告収入が増えやすくなりることで、環境への配慮が新たな収入につながる好循環が生まれるのです。
②お客様へのアピール効果が高まる
店頭のデジタルサイネージ自体が「このお店は環境に配慮しています」というメッセージになります。
画面には商品情報だけでなく、「このデジタルサイネージは省電力設計で、使用に伴うCO2排出もオフセットしています」といった環境への取り組みも表示できます。
こうした姿勢は特に環境意識の高い若い世代の共感を呼び、お店のイメージアップにつながり、お客様は買い物をしながら、自然と企業の環境への取り組みを目にすることができるのです。
③経営者や役員も納得の投資対効果
この3社連携の仕組みは、「環境に良いから導入する」だけでなく、明確なビジネスメリットがあるため、経営判断を行う立場の方々にも理解されやすいという特徴があります。
具体的には、印刷費や人件費の削減によるコスト減、クラウド管理による業務の効率化、広告収入という新たな売上源の創出など、会社の業績向上に直結する効果が期待できます。
環境への取り組みと収益改善の両方が同時に実現できるため、予算申請の際も「投資対効果が高い」という説明がしやすくなります。
4. まとめ
小売業界におけるカーボンニュートラルの実現は、もはや選択ではなく必須の課題となっています。
特に販促活動における環境負荷の削減は、消費者との接点において企業姿勢を示す重要な機会なのです。
本コラムで紹介した「カーボンクレジット付リース」「SoC型デジタルサイネージ」「MONOLITHS」の3つのアプローチは、環境対策と販促活動を両立させる有効な手段といえるでしょう。
これらを組み合わせることで、コストを最小限に抑えながらも実効性のある環境対策が可能になります。
小売業の未来は、環境と経済の好循環を生み出す新たなビジネスモデルにあります。
いま一度、自社の販促活動を環境の視点から見直し、持続可能な形へと進化させていくことが求められているのではないでしょうか。
私たちは、小売業の皆様と共に、環境に配慮した販促活動の新時代を切り拓いていきたいと考えています。
本編視聴はこちらより可能です!
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デジタルOOHアドネットワーク事業およびCMS開発・運用事業を行う、株式会社MADS(東京都渋谷区 代表取締役:穴原 誠一郎、以下MADS)は、全国のあらゆる生活動線上にある各種施設や店舗のサイネージやタブレットをネットワーク化、一元管理を行っており、デジタルの仕組みを活用し、地域、曜日、時間、気象条件など任意の条件で期間もしくはインプレッション単位の広告配信を行っています。
また独自の効果測定により、継続的に広告効果を改善していきます。
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ソニー商品の国内マーケティング・セールスおよび左記に付帯・関連する諸業務を行っています。
取扱商品であるデジタルサイネージは、画質の良さと視認性の高さが評価され、広告やキャンペーン情報などインフォメーションを表示しています。
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リースを祖業とし、国内外のパートナー企業との共創による「金融×サービス×事業」を融合したビジネスモデルを展開する業界トップクラスの金融・サービス企業です。
カーボンクレジット付リースサービスでは、クレジットの購入や無効化手続きなど必要な事務手続きを一貫して代行まで対応しています。
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