年末にかけて想起購買を狙う
おもち亭シリーズは2012年8月より全国発売し、用意する材料が切りもちだけという手軽さと、本品をお湯で溶いて、茹でたもちとからめるだけという簡単調理が人気をよび、主婦を中心に大好評を得ている商品です。
中でも自分では作れないものというイメージがあった「ずんだもちの素」が、人気となっています。
※ずんだもちとは、枝豆をゆでてすりつぶした「ずんだ」に砂糖を混ぜ、もちに絡めて食べる東北地方の郷土料理です。
1年の中で、12月は通常時期に比べお餅の売上が5倍以上になると言われています(全国餅工業協同組合調査)
おもち亭シリーズは、10年以上続く商品ではあるもの、まだ未認知の消費者も存在することから、今回その認知と共に購買を狙う目的で、お正月に向けて「お餅×調理」の想起購買が行われやすいという仮説のもと、その12月の1ヶ月間で広告出稿を行いました。
出稿概要
全国のドラッグストア:約180店舗
期間:1カ月間
想定リーチ数:約72万人
広告の表示回数:全店舗合計で約260万回
クリエイティブ:9:16の縦型×15秒尺
▼クリエイティブの特徴
商品画像を設けて、その下にレシピ動画を設けることで、どういったシーンで使える商品かを伝えられるようにしています。
商品売上は想定通り年末にかけて伸びる
まず、商品の売上は年末にかけ、右肩上がりに伸びる結果となりました。12月後半(特に年末前の一週間)が顕著です。
※PI値:1,000人来店あたりの売上
広告効果は「+21.0%」の売上リフトが発生
サイネージ広告出稿前月と出稿月、および、サイネージ広告の出稿店舗と非出稿店舗でPOSデータを元に売上を比較すると、広告を出稿しなかった店舗群と比べて、+21.0%の購買リフトアップが発生しました。
広告効果により、前倒しの購買ニーズにリーチ
同じ12月中の中でも、後半は広告出稿の有無に関係なく売上が上がっています(より広告出稿店舗の方が売上は加速しています)
対して、前半の広告効果(出稿に対しての売上増減率)が高い結果となりました。
考察として、後半にならないと動かない購買心理が、少し先の「そろそろ」「そういえば」の消費者心理をくすぐり、より早い段階で、想起購買(来店前には購入予定はなかったが、あることがきっかけで、購買する必要性を思い出す購買行動で、季節性の強い商品に多く見られる)に加えて、サイネージ広告による推奨購買(潜在的課題に対して、それを解消する手がかりがきっけとなる購買行動)が発生したと考えられます。
つまり、お餅が売れるハイシーズンを迎える前のタイミング=何もコミュニケーションを取らないと売れない時期にも、売上アップの機会が作れたと言えます。
総括
年末商戦時期に該当商品の売上が上がることは想定通りで、広告がそれを後押しをしたと言えます。それ以前に季節要因の影響があるであろう商品は、より早めから消費者に対して告知を行うことで、より購買機会が拡がることが分かりました。
広告出稿は需要期に合わせるだではなく、ちょっと早い段階から始めると良いでしょう。
今回の場合、12月は「今年最後の月」という暗黙の意識が働いたと考えられます。
例えば、夏にニーズがある商品は春の中盤あたりから、消費者に対してコミュニケーションを取ることがありますが、店頭においても早めの告知が、購買行動を促す上で重要であると言えます。